Uber Eats配達員は基本的に全員確定申告をする必要があります。"納税は国民の義務"ですので申請しないと罰則もあります。
そこでここでは配達員向けに合わせた確定申告のやり方について、準備から提出までの流れを詳しく解説します!
2021年確定申告の変更事項について
本題に入る前に。まず2018年に決定した税制改正の内容について解説します。所得控除についての制度が廃止されたもの、新設が多くなっていますので確認しておきましょう。
一部サイトでは税制改正前の情報が最新情報として記載されていますが誤解しないように。当サイトは税制改正した後の情報に従って解説していますのでご安心を!
確定申告期間が延長
2021年限定の変更事項ではありますが、新型コロナによる緊急事態宣言の延長により、申告・納税の期限が1ヶ月延長されました。
本来:2月16日(火)〜3月15日(月)
↓
2021年:2月16日(火)〜4月15日(木)
基礎控除額が変更
これまでは所得額関係なく一律に適用された基礎控除。
2020年度分から所得額に応じて控除額が変更される変動制になりました。
合計所得が2,400万円以下であればこれまでの38万円から48万円に増額されるため、個人事業主は減税になる人が多くなることでしょう!
一方で年間所得2,500万円以上は控除が0円になるため、新制度では稼げている人ほど増税になる傾向です。
Uber Eatsで年収2,500万円以上稼ぐのは限りなく不可能な領域なのでいないとは思いますので、基本的には減税となります。
これは嬉しい変更点です!
給与所得控除が減額
サラリーマンの給与収入が850万円以下の人はこれまでより控除が10万円引き下げられます。
詳しくは下記の表より
しかし、基礎控除額が10万円引き上げられたので結局これまでと大きく変わることはありません。
所得金額調整控除が新設
年収850万円以上のサラリーマンは給与所得控除額が下げられることから新たに創設。増税にならないよう調整してくれます。
条件として…
- 本人が特別障害者
- 23歳未満の扶養親族を有する人
- 特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族を有する人
これらが当てはまる人が対象です。
青色申告特別控除の控除額が変更
節税効果の高い青色申告。これまでは65万円控除と10万円控除の2種類でした。
こちらも基礎控除額引き上げに伴い、65万円控除の枠については55万円に減額。
一方で…
- e-Taxによる電子申告
- 電子帳簿の保存
いずれかを満たしていれば従来通り65万円を差し引くことができます。
❷に関しては事前に申請書を税務署に提出する必要があります(※帳簿つける3ヶ月前までに)
ひとり親控除の新設
「寡夫寡婦控除」の改訂版と位置付けられた新制度。
"寡夫"控除は婚姻歴がある人を対象にしていましたが、未婚のシングルマザー・ファザーが受けられない不平等があったため廃止。
代わって創設されたのが「ひとり親控除」
- 同一生計の子がいる(子の合計所得金額が48万円以下)
- 合計所得金額が500万円以下
- 事実婚に該当する相手がいない
これらの条件に当てはまれば婚姻の有無問わず、35万円の一律控除が適用されるように。
一方"寡婦"控除はシングルマザーではないが、離婚または死別経験がある人が受けられるよう、2020年度以降も継続して受けられますが、控除額が27万円に減額されています。
配偶者控除利用の所得要件の緩和
所得が一定額以下の配偶者がいる場合に受けられる配偶者控除。
利用する際の条件とされている、配偶者の合計所得金額が38万円→48万円以下へと引き上げられました。
しかし給与所得控除が10万円引き下がっているので結局はこれまでとは変わっていませんが変更されたことは覚えておきましょう。
確定申告とは
簡単に説明すると、所得税を納めるための手続きです。
その年の1/1〜12/31までの所得を自分で計算し、翌年に確定申告書に売上等を記入、税務署に提出します。所得税があれば、その後納税をします。
会社員の場合、毎月給与から源泉徴収として天引きされていますが、Uber Eats配達員は個人事業主扱いとなるため、所得税は個人で申告・納税しないといけません。
確定申告が不要なケース
原則としてUber Eatsで配達をしたことがある人は全員確定申告する必要がありますが、要件によっては確定申告が不要な場合もあります。
専業として配達=年間所得48万円以上
副業として配達=年間所得20万円以上
いずれかの条件で上回った場合、所得税が発生するため確定申告が必要です。
所得とは売上から経費を差し引いた後の額のことを示します。所得=売上と勘違いする人が非常に多いので注意!
専業・副業を分けているのはそれぞれ納める所得税の種類が異なるためです。
所得税にはさらに細かく種類が分けられており、専業=事業税・副業=雑所得となっています。
雑所得に関しては、取り組んでいるすべての副業の所得をカウントしないといけません。
副業として「Uber Eats」「YouTube」「アフィリエイト」をしている。
- Uber Eatsの所得が5万円
- YouTubeの所得が6万円
- アフィリエイトの所得が10万円
合計所得が21万円となり、確定申告が必要となってしまいます。
確定申告が不要だった場合でも住民税を申告する義務は全員に発生します。確定申告をすれば住民税の計算も同時に出来ますので手間を考えると全員申告しておくことがおすすめです。
確定申告しなかったら捕まります
所得税を支払う必要があったのにも関わらず、確定申告をせずに放置すると、脱税となり多額の延滞税が課せられます。
特に悪質性が高いと判断されれば逮捕されることもあるくらい脱税は重い罪ですが、例えその年に脱税した(=確定申告をしなかった)としても税務署はすぐに捕まえたり、税金を回収するわけではなく、あえて滞納者を泳がせます。
そうすることで延滞税が膨れ上がり、当初よりも膨大な額になった時点で滞納者に支払わせるわけです。
ここまで来ると、一発で自己破産する最悪の結末となりますので、所得税の支払い義務がある人は必ず確定申告と納税をしましょう。
確定申告の種類について
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類あります。
白色申告
- 家計簿感覚で付けられて申請がめちゃ簡単!
- 事前の届出も不要
- 楽な分、控除が一切ない
青色申告
- 事前に書類の提出が必要
- 準備が面倒な分、最大65万円の所得を差し引ける
- 専業の人しか申請できない
所得税を安く済ませたい人は青色申告を、白色申告は税金が少しだけと確定している人にそれぞれおすすめです。
確定申告に必要な書類・準備すること
確定申告の方法を選べれば、申請に必要な書類等を用意します。
青色申告と白色申告でそれぞれ用意するものが異なりますのでよく確認しましょう。
白色申告で必要な書類
確定申告書
確定申告書は「A様式」と「B様式」の2種類あります。
- 副業の人が収める雑所得は「A様式」
- 専業の人が収める事業所得は「B様式」
誰でも利用できるのはB様式と覚えておきましょう。
国税庁のホームページからダウンロード可能。
収支内訳書
国税庁のホームページでダウンロード可能
各種証明書(控除を受ける場合など)
医療費控除・医療費控除の特例セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は領収書の添付が扶養になった代わりに各種明細書の添付が必要。
他にも生命保険控除証明書や国民年金保険料控除証明書、寄付金の支払い証明書など
本人確認書類
マイナンバーカードがあれば一点のみ、それ以外はマイナンバーが確認できる書類の写し+身分証の写し
青色申告で必要な書類
確定申告書B
A様式の申告書と違い、所得の種類関係なく誰でも作成できる方式
青色申告決算書
国税庁のホームページからダウンロード可能
各種証明書
白色申告と同様、控除の申請をしたい場合のみ用意が必要
本人確認書類
マイナンバーカードがあれば一点のみ、それ以外はマイナンバーが確認できる書類の写し+身分証の写し
青色申告は事前準備が必要
青色申告をする場合は申告前にまず以下の2点を税務署に提出する必要があります。
開業届
開業後2ヶ月以内に税務署に提出。Uber Eatsの場合初めて配達の報酬を得てから2ヶ月以内までに提出
所得税の青色申告承認申請書
開業届と合わせて提出します。これがないと青色申告ができないのでお忘れなく!
上記2点の書類はいずれも税務署で入手できます。また国税庁のホームページでもダウンロードすることができます。
税務署に行くことが面倒であれば、郵送による提出も可能ですので少しでも手間を減らすことをおすすめします。これらを提出することができて、初めて青色申告の権利が得られます!
確定申告の提出方法
確定申告の提出は主に持参提出・郵送提出の2種類あります。
税務署に持参
税務署の窓口で提出する方法。提出の際に書類の不足等がないかチェックしてくれます。また分からないところがあった場合に職員に直接教えてもらえるのもメリットです。
ただし確定申告期間中は相当混雑しますので1日予定を空けておく必要があります。
郵送で提出
提出書類を郵送で送ることも可能です。税務署に行く必要がないので時間がない人におすすめですが、万が一書類の不備があった場合、受理してもらえないこともありますので初めて確定申告をする人、不安があれば直接持参が良いでしょう。
期限内の受理を確実にさせるために「特定記録郵便」を利用しましょう。※消印が証明になるため
消印が期限内の日付であれば受理されます。
郵送の際は確定申告書の控えと返信用封筒を同封しましょう!提出後の確認、諸手続きを申請する際の証明書として必要になることもあるため。
経験として持参を考えている方もいるかと思いますが、申告書が既に完成し、提出するだけであれば、わざわざ持参する意味はないでしょう。
職員に申請書類を渡すだけで終わりなので特別なことは一切ありません。むしろ混雑していて無駄な時間を過ごすだけなので提出のみであれば郵送が断然おすすめです(※経験談)
確定申告・納税期間は?
所得税の確定申告期間は毎年2月16日〜3月15日まで。
※土日祝日に当たる場合はその翌日に振り替えられます。
納税の場合も同日となっています。
一括で納付することが難しい場合でも期限までに50%を納めれば支払いを猶予してくれる制度があります。
困難な場合は放置せず利用しましょう。
期間内であれば何度も修正可能
提出した内容に間違いなど不備がある場合は確定申告期間内であれば「訂正申告」としてやり直し、提出することができます。
一方で、確定申告期限後の修正については税務調査の入る可能性が高くなります。
そこで不正等があればペナルティーとなりますので要注意です。
電子申告・納税(e-Tax)ならネットだけで完結!
最大限の節税効果を発揮したい方はe-Tax(電子納税)による申告がおすすめです!
e-taxとは電子版の確定申告。ネットで確定申告書類を提出でき、オンラインで完結するため非常に便利です。
e-Taxにもさらに「マイナンバー方式の申告」と「ID・パスワード方式の申告」の2種類あります。
ID・パスワード方式の申告
確定申告の前に税務署にて本人確認(身分証を掲示)をしたうえ、「ID・パスワード方式の届出完了通知」を無料で発行してもらう必要があります。(※即日発行可能)
マイナンバー方式の申告
マイナンバーカードを所有していれば「ID・パスワード方式の届出完了通知」の発行は不要です。
e-Tax最大の利点は所得税が税制改正前の65万円まで控除されます(郵送や持参は最大55万円まで)
2019年1月からはスマートフォンでもe-Taxの確定申告が可能になっていて利便性が向上していますが現状では、、
給与所得(2ヶ所以上も可能)
公的年金等
その他雑所得等
このいずれかに当てはまる人限定となっています。
Uber Eats配達員の専業であれば従来通りパソコンからの申請となります。
とはいえ、今後対象者は拡大することでしょうから期待です!電子となれば操作が難しそうに捉えがちですが、会計ソフトを活用すれば、より簡単になりますのでおすすめです。
まとめ
以上が確定申告のやり方についてでした。
確定申告の中でも申請の方法が細分化されていて、難易度もそれぞれ異なります。
税金を少しでも安くしたい人はe-Tax、とにかく簡単に申請したい人は白色申告。
なるべく手間を少なくするためにも、自分の状況に合った申請方法を選ぶようにしましょう。
多少の簿記知識は必要にはなりますが、便利なツールも続々登場しているのでこの機会にぜひチェックしましょう。